2007年07月

noise




耳を塞いでも、逆に大きくなるだけだった。


頭の中にこだまして、何度も何度も僕に囁かれる、騒音。





初めの頃はよかったよ。何も思わなかったし、無関心でいられた。

















けれど、今はそうはいかない。
















一度気にしてしまったら、それが命取りになってしまった。




もう、抜け出せない。

もう、止んでくれない。










次にあの言葉を囁いてくれるのは、いつだろうか…。











自分の耳を千切り取りたくなるほど自分を責めてしまう考えが頭をよぎった。




僕は馬鹿か。そうだ、気にしてしまった、僕が馬鹿だった。









いつも同じ時間に会いにやって来るあの子を、いつの間にか待っていたみたいだ。



それこそ騒がしい音を立てて、走ってくる。その姿が壁越しに分かる気がするよ。












「   」













さあ、始めようか。楽しい遊びを。




次は「ず」

うたわれるもの


「なぁ、あんたはなんでここにいるんだ?」


 少年の問いは純粋な好奇心からのものでした。


「何でだと思う?」


 女は少年と言葉を交わすことになんら価値を見出してはいませんでしたが、他にすることもなかったので逆に問うてみます。


「俺が聞いてるんじゃん」


 少年の不満はもっともなものでしたが、女には関係ありません。


「わからないなら、その方が良いさ」


 真実女はそう思っていました、
 女が何故この場所にいて、何故生きているかなど、女だけが知っていればいいことなのです。
 そして同時に、知らないほうが幸せなこともあるのだと、女は考えていました。
 少年は女の事をあまり知らないほうが長く生きることが出来るのです。それは紛れもない真実でしたから、女は初めから、無垢な少年に明確な答を与える気などありません。


「なんだよそれ」


 女の考えを理解したわけではありませんでしたが、彼女の言葉がそれまでの様子とは少し違ったので、少年はそれきり口を噤みました。


「私はな、」


 答を与えるつもりはありません。
 ですがヒントくらいならばいいだろうと、女は意地悪く笑います。


「私は私でいるために、ここにいるんだよ」


 限りなく答に近いヒントです。女の事を知るものならば、それこそが答であると気付いてしまえるような。


「・・・ふーん」


 ですがやはり、少年は気付かず、またそのことがおかしくて女は笑いました。
 少年は、そう長く生きることが出来ないでしょう。女から答を与えられてしまったのですから。
 それがどれほど素晴らしいことで、不幸なことであるかに気付きもせず、少年は丘を後にしました。
 女は、ひきとめようとはしませんでした。


「さよなら」


 彼女の事を知るものならば、彼女が哀しんでいると気付いたでしょう。
 ですがやはり、少年は気付くことができないので、そう長くは生きられないのです。
 もし気付けていたら、きっと――


「さてと」


 きっと、女の傍を離れるような、愚かな選択もしないはずなのです。
 女の傍だけが、争いの絶えない世界で唯一の楽園でした。
 今は女だけが、そのことを知っていました。
 本当は、もうどこを探しても、女の事を知るものなどいないのです。


「私も行くかな」


 うたわれるものはとても孤独でした。





多分エムアゲの神器とまつわる戦争の話
次は「の」
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