明け方
滅多に車の通らない田舎の道路に一人
突っ立って空を見上げた
今にも雨が降り出しそうな濃灰色の空
鳶が二羽いる
姿を現さない太陽
遠くで汽笛が鳴った
始まりがいつだったかなんて覚えてない
ただ自分を殺しに来る奴等を散らす
それだけしてきた
重金属が立てる音がして四方に整然と並ぶ戦車
低空飛行で近付いて旋回している回転翼の飛行機
低い男の声が叫ばれて
一斉に銃口がこっちに向けられる
数なんて知れないけれど少なくはないと思う
始めはちゃんと話をしようって近付いて来てくれたのに
それから何日も経って
動けなくなってしまったから話す事は無理だと思われたんだろうか
一応まだ出来るんだけどな
また低い男の声がすれば
戦車が音を立てて砲口をこっちに向けた
久しぶりに首を垂れて地面を見る
大地は屍に埋め尽くされたから見えないけれど
干涸びてゆくヒトだったモノ達から奇妙な植物は確かに見える
穴と言う孔から伸び始める赤黒い腸のような蔓
骨に張り付いた肉片を突き抜けて空を目指すモノもあって
実に滑稽だ
自分の生み出したモノとは分かっていても
愛情は芽生えない
形容しがたい爆音が幾つも轟いて
灰色の煙が空に昇ってゆく
此処に届く前に全ての鉄の塊は周りの植物の糧になる
更なる糧を求めて
植物は周りを取り囲むヒト達に自分達の分泌液を飛ばす
白い煙が灰色の煙よりも多くなって
新しい芽が生えてゆく
拡がる赤黒い蔓は空を目指して糧を求めて
『やっぱりお前は馬鹿だな』
懐かしい声がしたと思えば
それは天から降って来るもので
「貴女にだけは言われたくないんですが?」
累々と積み重なる屍の上に降り立って
昔と変わらない笑顔をこっちに向けた
『しかしデカくなったものだな』
「あれから五年は経ちましたからね」
『短いものだな』
「長くは無かったですよ」
久しぶりに会話をする相手が
貴女でよかったよ
普通のヒトなら武器をこっちに構えてるから
「何用でこちらに?」
『大した用事じゃないさ。単なる暇潰しに』
「…墓荒らしの噂でも聞き付けましたか」
『お前と言い彼奴と言い…』
「彼女と僕を同じにしないで下さい」
自分の周りを柵状に成って囲む植物に手を当てれば大木の幹が倒れるような音がして視界が開ける
笑みを浮かべたままの来訪者に向かい合う
『此奴等はどうするんだ?』
「…どうするも何も…」
『枯らすのか』
「そうですねえ…。まあどっちみち僕が此処を離れれば死んでしまいますからね」
片足を上げて
もう一本も上げて
前に踏み出す
溜まった水が栓を抜かれて一瞬に消えゆくように
赤黒い蔓達は大地に還ってゆく
白骨の隙間を器用に進んでいった
「実験の終わりは、自分で決めかねていましたから…」
『…お前は本当に馬鹿だな』
鼻で笑ってみせて
小さな機械を放られる
その懐かしい通信器機を耳に付ければ
聞こえるだろうと思っていた
その予想通り変わらない声がした
〔相変わらず戯言が多いな〕
生温い風が身体に纏わりついて
この辺り一帯にある不要物を大地に還す雨が降り始めた
空を見上げると
色調転換して姿を空と同色にしていた巨大な空艦がその黒色を露にして降下して来る
その艦の真下以外に降り注ぐ雨が溶かした
吐き気を催す臭いが鼻孔を掠めだした
滅多に車の通らない田舎の道路に一人
突っ立って空を見上げた
今にも雨が降り出しそうな濃灰色の空
鳶が二羽いる
姿を現さない太陽
遠くで汽笛が鳴った
始まりがいつだったかなんて覚えてない
ただ自分を殺しに来る奴等を散らす
それだけしてきた
重金属が立てる音がして四方に整然と並ぶ戦車
低空飛行で近付いて旋回している回転翼の飛行機
低い男の声が叫ばれて
一斉に銃口がこっちに向けられる
数なんて知れないけれど少なくはないと思う
始めはちゃんと話をしようって近付いて来てくれたのに
それから何日も経って
動けなくなってしまったから話す事は無理だと思われたんだろうか
一応まだ出来るんだけどな
また低い男の声がすれば
戦車が音を立てて砲口をこっちに向けた
久しぶりに首を垂れて地面を見る
大地は屍に埋め尽くされたから見えないけれど
干涸びてゆくヒトだったモノ達から奇妙な植物は確かに見える
穴と言う孔から伸び始める赤黒い腸のような蔓
骨に張り付いた肉片を突き抜けて空を目指すモノもあって
実に滑稽だ
自分の生み出したモノとは分かっていても
愛情は芽生えない
形容しがたい爆音が幾つも轟いて
灰色の煙が空に昇ってゆく
此処に届く前に全ての鉄の塊は周りの植物の糧になる
更なる糧を求めて
植物は周りを取り囲むヒト達に自分達の分泌液を飛ばす
白い煙が灰色の煙よりも多くなって
新しい芽が生えてゆく
拡がる赤黒い蔓は空を目指して糧を求めて
『やっぱりお前は馬鹿だな』
懐かしい声がしたと思えば
それは天から降って来るもので
「貴女にだけは言われたくないんですが?」
累々と積み重なる屍の上に降り立って
昔と変わらない笑顔をこっちに向けた
『しかしデカくなったものだな』
「あれから五年は経ちましたからね」
『短いものだな』
「長くは無かったですよ」
久しぶりに会話をする相手が
貴女でよかったよ
普通のヒトなら武器をこっちに構えてるから
「何用でこちらに?」
『大した用事じゃないさ。単なる暇潰しに』
「…墓荒らしの噂でも聞き付けましたか」
『お前と言い彼奴と言い…』
「彼女と僕を同じにしないで下さい」
自分の周りを柵状に成って囲む植物に手を当てれば大木の幹が倒れるような音がして視界が開ける
笑みを浮かべたままの来訪者に向かい合う
『此奴等はどうするんだ?』
「…どうするも何も…」
『枯らすのか』
「そうですねえ…。まあどっちみち僕が此処を離れれば死んでしまいますからね」
片足を上げて
もう一本も上げて
前に踏み出す
溜まった水が栓を抜かれて一瞬に消えゆくように
赤黒い蔓達は大地に還ってゆく
白骨の隙間を器用に進んでいった
「実験の終わりは、自分で決めかねていましたから…」
『…お前は本当に馬鹿だな』
鼻で笑ってみせて
小さな機械を放られる
その懐かしい通信器機を耳に付ければ
聞こえるだろうと思っていた
その予想通り変わらない声がした
〔相変わらず戯言が多いな〕
生温い風が身体に纏わりついて
この辺り一帯にある不要物を大地に還す雨が降り始めた
空を見上げると
色調転換して姿を空と同色にしていた巨大な空艦がその黒色を露にして降下して来る
その艦の真下以外に降り注ぐ雨が溶かした
吐き気を催す臭いが鼻孔を掠めだした
次は「め」