光はなかった。ただ闇が広がっていた。それが世界のあるべき姿だと考えることにしていた。光はない。必要ない。だから私は闇に抱かれて今日も眠る。長い眠りと短い覚醒を繰り返していた。他にすることもない。いつか変化があるのではないかという期待は初めからなかった。こうなる前に絶望と共に閉ざされていたのだ、私の世界は。
 嗚呼何故、私たちでなければならなかったのか。何故、引き離されなければならなかったのか。何故、あの時手を離してしまったのか。
 愛する人の名さえ奪われ、私は何故生きてる。私が私を《私》と認識できない《真名の檻》の中で、私が個であり続ける意味がどこにある。
 傲慢な神々が欲したのは《器》であったはずだ。入れ物に心は必要ない。ならば何故、私はまだ思考している。
 嗚呼、誰か私を消してくれ。そうして永劫続くこの苦しみか解き放ってはくれないか。愛する人の名さえ思い出すことも叶わない無力な私に、僅かでも心動かされたのなら、どうか。

 私を私でなくしてはくれまいか。





次は「あ」
最近の俺